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【私のメディア・リテラシー】第19回 <ステージ4の緩和ケア医が書いた『がんを悪化させない試み』とは?>  尾﨑 雄 Ozaki Takeshi(「老・病・死を考える会プラス」世話人 、元日経ウーマン編集長

8月5日、三宅一生さんがなくなった。ヒロシマが生んだ世界的なファッション・デザイナーだった。享年84。肝細胞がんだった。「ブランドを後進に引き継いだ後も精力的に活動し、生涯現役を貫いた」(10日付け読売)。原爆の後遺症と戦いながら、ひたすら服飾革命に取り組む。「日本のファッションを世界レベルに引き上げた偉大な人」(同)だった。

三宅氏のようにはなばなしくはないが、静かなる医療革命に取り組んできたひとりの医師がいる。在宅緩和ケア医の山崎章郎氏である。6月、一冊の本を出した。
『ステージ4の緩和ケア医が実践する、がんを悪化させない試み』(新潮選書)だ。

ジャンルを問わず、今年の新刊書で私が最も感銘を受けた一冊になるだろう。

<大腸がんを抱えながら訪問診療を続けて>
山崎医師は元外科医。病院勤務を振り出しに緩和ケア病棟(ホスピス)の緩和ケア医を経て在宅ホスピス医となる。その間に多くのがん患者を看取ってきた。ところが、4年前、自らが大腸がんの患者になった。抗がん剤治療を受けつつ本業の訪問診療を続けたが、まもなく肺に転移し、ステージ4(がんの最終段階)の患者になった。その後、ステージ4の大腸がんに対する標準治療である、さらなる抗がん剤治療を提案されたが、ステージ4の場合、抗がん剤治療の目的は治癒ではなく、数か月から数年の延命であるという現実や、抗がん剤の副作用で訪問診療に向かう車の運転が覚束なくなった等の経験を踏まえて、抗がん剤治療をギブアップし、別の道を模索する。苦痛を強いられることもある抗がん剤治療をやめ、がんを悪化させず、できるだけ普段通り死ぬまで生きるための試みを実施し、その経過を本にした。

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<元厚労次官が『社会保険旬報』で評価する>
がん悪化防止の方法は「MDE糖質制限ケトン食+クエン酸療法+少量の抗がん剤」。医療や医学に疎い人には分かりにくいが、要するに癌細胞の栄養になる糖質を押さえた食事療法に加え、副作用が出にくい程度の抗がん剤も少量もちいる。苦しまずに残された命を大切に使って、自分らしい生き方を全うするための「試み」である。批判もある。医師らは個人の治療記録に過ぎず、エビデンスがないと疑問を呈し、怪しげな代替療法や民間療法を活気づける、と問題視する声もある。その一方、江利川毅元厚労省次官は『社会保険旬報』8月1日号の誌面を借りて山崎氏の試みを評価し、一部の財団は山崎氏を支援することになった。

<QOL重視や患者中心の世論が後押し?>
1990年、山崎医師は『病院で死ぬということ』を上梓し、当時の病院で当たり前のように行われていた末期がん患者らに対する過酷で非人間な治療を物語として世に問うた。内部告発ともとれる内容だったが、ミリオンセラーになった。医療界のパターナリズムに従っていた一般市民が山崎医師の“告発”に共感したのだ。その後、QOL重視や患者中心の医療を目指す機運が浸透するにつれ、緩和ケアとくに自宅で療養するがん患者らに対する在宅ホスピスの実践が広がった。そのきっかけになった『病院で死ぬということ』から30年。医療は進化・発達し、患者と医療者の意識も変化した。その結果、がん医療の様相と内実は複雑になった。

『がんを悪化させない試み』はそうした背景から生まれたのである。

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